煙突がぶっこわれた
それは昨年の年の瀬、冷え込みの厳しい朝。
さーて今日も張り切って海外オートサーフでもやるかね~とパソコンを置いてある台所のドアを開けて一歩中に入ったその瞬間、
私の足がばしゃっという水音を立てたのでございます。
水?
私は台所の隣の部屋でいびきをたてている母に声をかけました。
「かーちゃん、昨日台所で水こぼしたべや?」
「・・・・あああん?あたしゃ水なんか飲まねえぞ、あんたこそこぼしたんじゃねえの?」
朝っぱらから頭痛がしてきましたが、起き出して来た母にもその水を踏ませてやりました。
よーやくただ事ではないことに気がついたようです。
どう見ても「こぼした」という程度の水じゃあない。
果たしてこの水はどこからやってきたのか。
まず天井。雨漏りの跡は全く見受けられない。
次に床。水は50センチ四方に貯まっていたが、それ以外の部分には一滴もナイ。だから結露とかでもない。
それじゃ壁か?
水がたまっていた床に面している壁にはその昔石炭をくべていた炉の跡がある。
なんでまた石炭なんかたいていたかっていうと、ウチの昔の暖房手段ってのが
「ペチカ」
だったからである。
「ペチカ」ってのはレンガを積み上げて炉を作り、その中で石炭をたいて暖をとるっていうもんである。
何でまたそんなミョウなもんをわざわざ作ったのかわからん。
それでその炉の跡の扉を開けてみたらば、真っ黒い水がどばっと流れ出してきたのさ。
朝っぱらからぎゃーぎゃー言いながら大騒ぎする羽目になったんだよ全くこのクソ忙しい時に。
で、程なく大工さんがやってきた。そしてこう言った。
「煙突が壊れているんじゃあないんですかねえ」
炉があるってことはもちろん煙突もあるです。
それで大工さんに頼んで直してもらうことになった。
で、半日かけて直してもらった。
まず20年以上掃除していなかった煙突を掃除した。さっきより更に黒くてどろどろした油煙まじりの水が噴出して気絶しそうになった。
更に煙突の入り口に網を張って雪が直接吹き込まないようにした。
はーやれやれ。
・・・・・そして今日である。
朝、起きてきて台所のドアを開けた私の足はまたしても水浸しになってしまったのである。
ああ・・・それもこれも、その昔、「ペチカ」と「薪ストーブ」のどちらにするか多数決をした時にわざわざペチカを選んだ母のおかげかと思うと泣けてくるわ。
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